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AIモデルのBってなによ?パラメーター数の意味と重要性について

はじめに

AI技術のニュースを見ていると、「32Bなのに!」などのテキストを見ることがあると思います。
真っ先に思うことは「このBってなによ?」だと思います。

※実際に私も思いました。

このBなによ?を払拭する為にこの記事を記載します。また今後のAIトレンドにも軽く触れたいと思います。

結論から:Bは10億(Billion)のB

結論から言うと、「B」はBillionの頭文字で、10億を意味します。
つまり、「{AIモデル名} 32B」というものであれば、320億個のパラメーターを持つAIモデルということになります。

なお、必ずしも名前にパラメーター数が書かれている訳ではありません。
例えば、OpenRouterにあるDeepSeek: DeepSeek R1 Zero (free)は名前にはついていません。

その分説明欄にパラメーターに関する情報が記載されています。

DeepSeek-R1-Zero is a model trained via large-scale reinforcement learning (RL) without supervised fine-tuning (SFT) as a preliminary step. It's 671B parameters in size, with 37B active in an inference pass.

It demonstrates remarkable performance on reasoning. With RL, DeepSeek-R1-Zero naturally emerged with numerous powerful and interesting reasoning behaviors.

DeepSeek-R1-Zero encounters challenges such as endless repetition, poor readability, and language mixing. See DeepSeek R1 for the SFT model.

  • 日本語訳

DeepSeek-R1-Zeroは、大規模な強化学習(RL)によって学習されたモデルであり、その前段階として教師あり微調整(SFT)を行わない。パラメータサイズは671Bで、推論パスでは37Bがアクティブになります。

推論において顕著な性能を示しています。RLにより、DeepSeek-R1-Zeroは数多くの強力で興味深い推論動作を自然に実現しました。

DeepSeek-R1-Zeroは、終わりのない繰り返し、可読性の低さ、言語の混在などの課題に遭遇します。SFTモデルについては、DeepSeek R1を参照してください。

「パラメーター」ってなに?値が大きい方がいいの?

簡単に言うと、AIモデルの「脳のニューロン」みたいなもので、モデルが学習し、情報を記憶し、処理するための数値を指します。
言語モデルの場合、これらのパラメーターが言葉の意味や文法、知識などを表現しています。

一般的に、パラメーター数が多いモデルほど「賢い」と認識されて、以下の実現が可能とされていました。

  • 複雑な概念を理解できる
  • 多くの知識を保持できる
  • 微妙なニュアンスを捉えられる

しかし、車の排気量と同じで「大きい=必ず優れている」わけではありません。
そのAIが実行するタスクに「最適化」されているか?が重要とされています。

その証左のように以下のような記事も出ています。
小規模言語モデル


でも大きい方がやれることは多い

もちろん大きいパラメーター値を持ったモデルの方が、できることが多いので最適化等もしやすいです。

ですが、以下の課題がまだまだネックになります。

・コストが高い
 ・動かすのに高性能のマシン(GPU)が必要
 ・消費電力が大きい
・応答速度が遅くなりがち
 ・回答に対して、多数のパラメーターからリターンを生成するので、最適化されたものより遅い
 ・知識量が多い分、「ズレた」回答をすることがある


例にあがる32Bは大規模なの?

数年前は大規模とされていましたが、時代による変化で、32Bは今や「普通」程度です。
なんなら無料で提供されることもあるレベル感です。

AIモデルの規模は、興味深く、急速に進化を続けています。
2020年に登場したGPT-3の1750億パラメーターは当時「巨大」と話題になりましたが、2025年現在では1兆(1T)パラメーターに迫る規模のモデルも登場してきています。

今後パラメーター情勢:効率化でより少ないパラメーターでより高性能に

上述のニュース記事にもありますが、小型モデルを効率よく訓練する、「より多く」ではなく「より賢く」という思考がトレンドになりそうです。

MoE(Mixture of Experts)SEAP(Sparse Expert Activation Pruning)などのAIを小さく、効率的に扱う技術によって、どんどん最適化 & エッジデバイスでのAI稼働が進んでいきそうです。

最近ではスマートフォン上で稼働するAIも登場し、どんどん扱える機能が増えています。

実用的なモデル選択:何Bが適切?

現在、AIモデルを選ぶとき、パラメーター数をどう考えるべきでしょうか?AIに聞いてみました。

  • 一般的な文章生成や会話: 7B~13Bモデルでも十分実用的
  • 複雑な推論や専門知識: 30B以上がおすすめ
  • モバイルアプリ組み込み: 1B以下の軽量モデル
  • 企業の重要業務: 70B以上の高性能モデル

※パラメーター数だけでなく、訓練データの質や量、アーキテクチャの工夫、調整(ファインチューニング)の有無なども重要な要素です。

まとめ:Bの先にあるもの

AIモデル名の「B」はシンプルに10億を意味しますが、その背後には複雑な技術と哲学があります。
現在のAI開発は「より大きく」から「より効率的に」という方向へシフトしています。

モデル選択の際は、パラメーター数という「量」だけでなく、訓練の「質」や特定タスクへの最適化も考慮することが大切です。
AIの急速な進化を考えると、今「大規模」と呼ばれるモデルも、数年後には「小型」と呼ばれるかもしれません。

テクノロジーの進化は続きますが、自分のニーズに最適なモデルを選ぶという原則は変わりません。
パラメーター数は一つの指標に過ぎず、実際の使用感やコストパフォーマンスも重要な判断材料となるでしょう。

それでは、本記事がどなたかお役に立てば幸いです。

  • この記事を書いた人

緑川縁

ニートからシステムエンジニアになった人
クラウド案件をメインにやっています。
保持資格:CCNA,AWS SAA&SAP,秘書検定2級
趣味でボカロ曲作り始めました。

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